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本気になんかならない

第13章 争奪戦

なのに彼は、私の肩に手を添えて
ふたりの立ち位置を交換する。

私が車道側だったから…。

そんな優しさにきゅんときて。

「よかった、ありがとう。
全部食べたかチェックしてあげる」

そう言ってお姉さんっぽく手を出すと、

「お礼を言うのは俺のほうだろ。
朝早くにこんな良いものを持ってきていただき、ありがとうございました」

うやうやしく巾着を掲げた彼は
私にペコっと頭をさげた。

ぷっ、、可愛い…。

小浜さんに勝利宣言ってわけでもないけれど、
横断歩道で立ちどまり
なにげに後ろに目をやったときには、
彼女たちはいなかった。

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