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本気になんかならない

第20章 リンドウの咲く季節

メグはスカートをひるがえし、
そのまま階段の角を曲がった。

図書室を出た俺が、階下を見おろしたときには
もう姿なく。
さすが、陸上部…。
そんな単純な感想はどうでもよくて。

何だろう、この不自然な現実。

頭に残ったメグの声を、もう一度読みなおす。

"しばらく私、勉強に専念したいから。
お互いがんばろうね"

しばらくって…受験が終わるまで?
もしかして看護師国家試験が終わるまで?

だけど、そんなこともどうでもいい。

で、しばらくのそのあと、
どうしようっていうんだ?
先ほどの表情からも、良い結末を用意しているようにはとても思えない。

脇を行く生徒同士が、おはようの挨拶を交わしあうのをすり抜けながら、俺はメグの教室を目指した。

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