テキストサイズ

本気になんかならない

第21章 古りゆくもの

だって俺は、
聞きおぼえのない猫の名が出てくるたびに…何者?って疑問ばっかりで。

結構な混乱状態のなかで観客席に座ってた。
俺くらいこの芝居を把握してない人間なんて、
いないだろうなぁって思いながら。

すると、言葉少なな俺をメグはうかがいだす。

「ごめんね。カッコつけちゃって。
ダメね、本当は全然わかってないの、私。
和波君は私よりずっと理解してる」

「そんなことないよ」

俺は、はぐらかすように
こんな言葉を口にしたっけ。

そして、雪のように花を散らす桜が
微笑む彼女の髪を飾ったんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ