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本気になんかならない

第21章 古りゆくもの

「ごめん。顏は見えてなかったのよ。声だけ
…でも、お父さんっぽく呼ばれてなかった?」

ああ、ぬいぐるみに入ってたんだもんな。
それにあの頃は、お互いをまだ知らなかったし。

「…家族内では、タディって呼ばれてる」

「それよ、それ!ダディみたいだもん」

「和波って、カ行もザ行も幼児には発音しにくいだろ?
それで定着しちゃったんだ」

「そうなんだ…タディ…」

くつくつと始めたメグは
しまいには、きゃらきゃらと笑う。

「笑いすぎだろ?」

「だって、。じゃあ、このコたちは?」

「ハニィとリィ。そしても1人がハン」

「そうなんだ。
早くこのコたちに会いたいなぁっ。
年末が楽しみっ!」

「一緒に年越しそばでもする?
家にいる白峯って俺の保護者みたいな人の実家が蕎麦作っててさ、毎年大量にもらうんだ。
こいつらいるなら、俺の家でもそんなに恥ずかしくないだろ?
帰りは、送るから」

「え?やったあ!」

季節先取りのあの桜蕎麦は、
メグも喜ぶだろうなぁって思ったんだ。

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