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本気になんかならない

第22章 カラーレス

「そっか。反抗すればいいのか…」

そんなことすっかり忘れてた。

「ほら、また素直。なのに意地っぱり。
お前、児童書なんて読まなくたって、まるまる中身、純真無垢な児童だろ?
いや、児童以上に児童だね」

何か、酷いことを言われた気がする…。

怪訝な表情の俺を見た彼は
一応、言いつくろいの姿勢を見せた。

「精神年齢が低いってわけじゃなくて、疑うことを知らない子どもって意味だぞ?
オーラとかそんな神秘的なことじゃなくて、個性として、色を持たず。
何色にも自在に染まる。特技だな」

言いかえられても、
ほめられている気はまったくしなかった。

ひとり納得顔の彼は、俺の本棚から教科書を取りだしては
「懐かしー」とページをめくり始めた。

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