テキストサイズ

本気になんかならない

第28章 green flowers

知らない家の浴室で真っ裸の俺。
今、あのピアノ男じゃない人間に遭遇したら、変質者以外の何者だっての?

焦って室内を見まわしているところに、ダンダンっと足音が近づいてきて

とにかくここは!と
目の前の下着を装着すると同時に、ノックもなしにドアが開いた。

「和君の服さ、今、洗濯してるから。ほれ」

濃紺の一式を受けとった俺は

「ん?隠さなくてもいいのに」

と、口のはしをあげる彼に、ひきつりながら尋ねた。

「これ、、誰のですか?」

「俺。少し小さかった?」
と当然のように答える。

貸す?自分の、、下着。ほぼ初対面の俺に…。
もう、はいちゃったけど。。

「あ…新しく買って返しますね。。」

「え?和君の、今日中に乾燥までかけるから、すぐに返してくれたらいいよ」

「そんなわけにはいきませんっ」

「俺のお気に入りなんだから返せよ」

「そんなに大切なら、貸さないでくださいよ」

俺、正しいよな?
他人の下着、とっさにはいてしまったのはもうしかたないとして。一度はいたら、洗濯しても返したくはない。

なんか抵抗ある。。
いやもう今、他人の下着はいてる時点で、自分じゃない気分。

「返せ!」

「もう俺のです!」

パンツの貸し借りって、俺が友だちの家に泊まることがなかったからなだけで、これが世間のフツーなのか?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ