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本気になんかならない

第28章 green flowers

「これも借りますね?」

もう隠すのも億劫になってきて、ムスッとしながら、その作務衣に袖を通した。

「何着ても似あうね」

風呂から服から貸してもらってるのは俺だけど、人の着替えをジロジロ見ないでくれ…。

俺が北里の、相手だったから気になるのか?

ひととおり着こんで、顔をあげた俺に
彼はニッコリ微笑んだ。

「来てくれてちょうどよかったよ。
今日、俺の誕生日なんだ」

「はぁ、おめでとうございます」

「だから、作ってね?俺の大好物!」

はい?
なんか妙な展開になってきてる…。

まあでも、これくらいの恩返しはしたほうがいいよな。

「…わかりました。ご希望はありますか?」

「俺の大好物といえば、マカロニグラタンだろ?」

知らないよ。。

「材料あるんですか?」

髪を乾かしたあと、ピアノ男についていく。

その手作りキッチンは整理されていて、俺の置かれた境遇に反して心地がとても良かった。
計量カップも手の届く棚にあり、オーブントースターも使い勝手よく。
俺は、玉ねぎを炒めだす。

「チーズは乗せます?」
「このトマト、使っていいですか?」
とか、聞きながら。

そして、できたてを2皿、カウンターテーブルに置いた。

「お誕生日、おめでとうございます」と添えて。

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