テキストサイズ

本気になんかならない

第28章 green flowers

テーブルが遠い…。
と眺めていたら、その男、

「俺、このバンドのファンなんだ!
で、和君にずっと聞きたかったんだけど、
ピアノの人と同姓だよね?どういう血縁?」

なんて、よく知ったCDを見せながら問う。

「それは、ありがとうございます。母です」

実際には義理だけど、そんなこと言う必要もないし

「そっか!似てると思ってたんだ。
道理でな、息子か…。ふふふ。
押したおしたくなっちゃうから、嫌なら何か弾け!」

サイン貰ってきてとか言われると予想したのに、おっそろしいこと言うよ、この男。

俺が冗談にとっていると、あとの2人が身ぶり手振りで"早く弾け"と伝えてきた。

マジですか?

だけど、どの曲を?

手近な楽譜を開いてみるけど、弾いたことのある曲でも、自分の慣れ親しんだ楽譜と違うと感覚狂うんだよな。

迷う俺に、横からの声。

「1ミスにつき1枚脱ぐ?」

…とりあえず頭にあった曲を弾くことにした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ