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本気になんかならない

第28章 green flowers

脱衣場と浴室で、俺はくまなく調べだす。
疑いだすと、コップで休んでいる歯ブラシさえ、隠しカメラに思えてきた。
もしやハーフミラーかと、洗面台上の鏡を睨んでいると廊下から声。

「おーい。背中流してやろうかぁ?」

ドアが開きそうな気配がして、俺は内からレバーハンドルを押さえながら返した。

「いりません!」

案の定、ガチャガチャと音がして

「なあに?まだ入ってないのぉ?」

てことは、現在は見えてはない、と。

「カメラどこですか?」

「今日はないよ?」

…昨日はあったのか?

「つぎがつかえてるんだから入れ!」

「だったら開けないでくださいよ!」

「へぇ。そんなこと言えるんだ。ふうん?」

……そうだ。
この男に北里の連絡を頼んでるんだ、俺。
それに、いかがわしい写真も…。
弱味だらけじゃないか。。

これからここで平穏にバイトなんてできるんだろうか?
ときには反撃に出たほうがいいんじゃないだろうか。

北里の所在なら、国中の高校を調べまわったらいいんだし!
写真は、、あとで力ずくでも滅してやろう。

「開けたら、思いっきり殴りますからね!」

そう言って、そっとドアから手を離したけどレバーは動かず、返事もなく。
不思議に思って外を覗いてみると、無人の床に作務衣が置いてあった。

俺、からかわれてるのかな。
それに、もう見られてもいいか。
男同士なわけだし、ここは銭湯だと思えば…。

えーっと、あと何分で交代だったっけ?
てか、泊まるなら白峯にも連絡しとこ…。

その作務衣を脱衣場の棚に移して、
……今日は洗濯されないよな?
と思いながら、脱いだ服を棚の一番上に隠した。

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