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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

デキ婚デスって?

聞きなれないその言葉のその意味を理解するに、俺は何分かを費やしたかもしれない。
何でもないはずの唇が、じーんと痺れて感覚が遠のく。
千尋さんが和史さんに言うのが聞こえる。

「お前、言わなくてもよかったんじゃないか?」

「知らずに、バッタリ遭遇して漏らしちゃうほうが悲惨だろ?
男はさ、フラレて育つんだ」

俺はすでにフラレてるっての!
で、誰が漏らすって?

かすみが取りまいていた脳に、怒りに似たような感情が射しきて、やっと自分が身体に戻ってきた気がした。


「飲むか?」

と、差しだされた水をもらって、
食道から胃への流れを感じて

で、結婚した?北里が?

そっか。。。



何にしても、ウェディングドレス姿、キレイだったろうな…。
いつかこんな日がくることはわかっていた。

だけど
こんな早いなんて俺、思ってなかったな。。

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