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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

そして、早めに着いたバイトでは
俺の掃除中に、背後から和史さんがややこしい前置きをした。

「こんなこと、お前は聞きたくないんじゃないかなぁって思うんだけど。聞きたい?」

「悪いことなんですか?」

「悪いと言えば悪いし、いいと言えばいい。
聞くと、んー。俺に身を任せたくなるレベル?」

…不吉だなぁ。だけど、
そんなこと言われたら気になるし。

「あり得ませんけど、なんですか?」

振りかえって、和史さんを見たけど
彼は止めていた足をキッチンに向けながら言った。

「紀ちゃん、デキ婚ですって」

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