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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

情報が錯綜するなか、わかっていることは、
両親が亡くなったということ。
宮石家の両親と、リィの両親が。事故で。

仕事先のコンサートホールが崩れて、
火災も同時に起こったとかで。

一部身体は損傷激しく、とても小学生に見せられるものではないと、
本人確認後は、白い布でおおわれる。

あるはずのものがなかったりして、その付け根にぐるぐるの包帯は染まり、漏れないように急ごしらえっぽくビニールのようなものが貼りつけられていて。
リィの父親に関しては、もうほとんどが焼けこげていて。

「今、消防が手分けして探してます」

そう言われても、くっつけたところで…。
それでも、母親の顏や片腕はキレイで、喉を震わせてハニィがすがりつく横で、リィが叫ぶ。

「こんなのウソだっ!
…ねぇ、治るお薬、あるでしょ?

今朝まで元気だったんだよ?
手術室へ運ぼうよ!
そしたら、もとどおりでしょ?

どうしてみんな動かないの?
あきらめちゃダメだってよく言ってるじゃないか!
……足りないなら僕の身体を使っていいから!!!!」

リィを抱きしめながら、
せめて即死であってくれって祈るしかできずにいた。

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