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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

「何が原因だったの?」

尋ねると、帆澄は寝てる2人を確認し、
俺をチロッと上目に見て首をすくめた。

「…兄貴にまで呆られたくないから言えない」

何をしたんだ……?
でも、呆れてもそれは一瞬。
一緒に過ごした大切な家族なんだから。

「呆られてなんかないって。
父さんが呆れるなら、俺のほうだよ。
ろくに顔も見せずに、手紙も送らなかった」

「そんなことない。
もうすぐ和波と一緒に酒が飲めるって喜んでた」

顔をあげた帆澄と目があって、後ろめたいもの同士、ニヤッと軽く笑う。

キッチンの奥に、もっちーから貰った麦焼酎があったと思うんだよな。
ハニィたちが目を覚まさないよう、大きな音を立てないように気をつけて盃を3つ取りだす。

「…じゃあ、3人で酒盛しようか」

「いいね」

……そののち、夜が更けて様子を見に来た白峯は
「飲むなら、俺にもひとこえかけろよ」
と、俺たちを静かに睨みながら腰を据えた。

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