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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

「あとで話を聞きます」と言いのこし
教頭先生と数名は校長をどこかへ連れていく。

帆澄、ごめん…。
俺、やっちゃった。。

でも、俺の行ってた高校の編入試験を受ければいいよ。
あそこの先生は、生徒思いのいい人ばかりだし。

そう思いつつ、共犯者と顔を見あわせる。

ええと、お久しぶり
は、まぁ言わなくていいか。

と、俺は口を開く。

「あんな無茶して、火傷してないか?」

久々に見る北里は
キレイに化粧して、ゆるふわっとしたワンピ着て、

「全然っ!
和君のアッパー決まって、スッとした!」

笑う彼女の宿す生命を
まだまだ実感なく俺は見つめて、

「赤ちゃん、びっくりしたんじゃない?」

「うん。喜んでる感じ」

撫でるその薬指には、リングがはまっていて

「だったらいいけど」

俺は、直接の”おめでとう”が言えなかった。

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