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本気になんかならない

第30章 初デート

料理を待つあいだに、北里が話しだす。

「ね。このあと、バイトは?」

「ああ、夕方から入ってる」

「ちょっと早めに、出ない?
久しぶりに和君のピアノ聴きたいの。
…バイオリンは、クルマに積んではないよね?」

ええ?あの店で、北里の前でピアノ?
和史さんが絶対ニヤケながら俺を撮影するっ。

「いや…それはちょっと…」

「お願いっ。そこからはひとりで帰るから」

北里に手をあわせて拝まれては
心が揺れるけど

「ダメ。家まで送るよ。
最近は暗くなるの早いんだから」

「近くなんだから大丈夫よ」

「近くなんだから送るよ」

「…ありがとう」

………あれ?

俺がピアノを弾くのは決定?

まあ、ほかでもない北里のお願いなんだから
いたしかたないか…。

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