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本気になんかならない

第30章 初デート

俺はそさくさと助手席のドアを開けて彼女を促す。

ナビに北里自宅の案内開始を命じると、
それを見た彼女が口を尖らせた。

「ええ?ピアノはぁ?」

「そんなのどうでも!
……じゃあこれは?
明るい穏やかな曲がそろってるから」

CDをディスクトレイから出してケースに入れ、北里に渡す。
俺ときょうだいたちの演奏の入ったCD。

「え?非売品?これ和君家族だったの?
いいな~ってさっきから思ってたのよ。
ありがとうっ!私、これ聴きながら出産するね!」

……喜んでいいんだかどうなのか、。

俺が運転しはじめる横で
もう少し聴いていたいと、彼女はCDをトレイにセットし直した。

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