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本気になんかならない

第30章 初デート

そこには、付きそい家族用にテーブルと椅子が置かれ、紐を引くと温まる軽食やカップ麺の自販機があった。

あまり臭いのしないものは…と俺が探していると

「すみません!
北里紀子は入院していますか?
家族なんですけど!」

そんな声がうしろから聞こえて、
俺はピクッと振りむいた。

「昨日から電話がつながらなくてっ!
もうすぐ生まれると聞いていたんで、
もしかしてこちらにお世話になっているのかと」

そこでは、鬼気迫る様相の男性が白衣の人に詰めよっていた。


北里の家族…
連絡がとれなくて、駆けつけてくれたんだな。
いい旦那さんじゃないか。。

これでもう、俺の出る幕はない。


そのまま北里のもとには立ち寄らずに
俺は病棟出入口のドアを開け、ほの暗い階段をおりていった。

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