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本気になんかならない

第30章 初デート

不謹慎な願望は幸い、俺の倫理観がそれを許さない。
彼女は、ほかに頼る人がいなくて、藁をもつかむ感覚で、俺に救いを求めただけのこと。

手をつなぐ、
それだけで俺がどんなにか揺さぶられても
それは、俺のなかで処理しなきゃならない問題。


だからって
俺の本能を甘く見てもらっちゃ、困るっ…!

彼女にそんな意図はないだろうけれど、これは俺への挑発なんだから。

だって現在
俺の心はふたつに分かれ、
キスしていい?するなっ!で戦っている。

そこへ、「くうん」ってお腹が高く鳴った。

なんっだ、俺の音だったのか
てっきり北里が俺を呼んだと思ったのにっ。

…そっか俺、昨晩から何も食べてないや。

どうりで頭がクラクラするし判断力も鈍ってる
と俺は部屋を出て、ナースステーション横にあるデイルームまで歩いていった。

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