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本気になんかならない

第31章 スクロール

祝いの品物は郵送し、
それきり北里に会うことなく

大学を卒業した俺は、
父が手掛けようとしていた児童養護施設(何らかの理由で親と暮らすことができない0歳〜18歳までの子どもが生活しているところ)の事務にたずさわるつもりだったんだけど。

今まで白峯らがしてくれてた家の仕事も
できるところは、家長となった俺が担うことになり

それが、宮石家だけじゃなく、母の実家も把握しなきゃだから
正規の事務員になる余裕もなくて。
それでも施設にはときどき、応援に行っていた。

それが、今まで育ててくれた父への恩返しになると思ったし、施設の子どもたちと過ごすのも気力体力勝負だったけど、楽しいことが多かった。

宮石家の離れの一室を俺の主な仕事場にして、その屋上から見える本宅の灯りをぼんやり眺めたりした。


で、つぎに彼女に会ったのは
社会人1年目の年の冬、12月。

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