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本気になんかならない

第32章 クリスマス会

「サンタさーん。
ケーキがあるから、今夜でも、うちに来てね」

「ボクの家も!
煙突をつけておくから、落ちないようにね」

「じゃあ、私の家には明日ー!」

イマドキ園児の観察眼、おそるべし…。
数十分前にサンタだった俺を見抜くなんて。
って感心している場合ではないと、俺は口を開く。

「あ、いや。僕はサンタクロースじゃないよ?
だけど、本物のサンタさんがきっと来てくれるから、小さなケーキを用意しておいてあげてね」

「サンタさんじゃないのぉ?」

「うん、似てるとは言われるんだけど違うんだ。
サンタさんみたいに空も飛べないし、煙突にも入れない」

「えー?違うんだってー」

「そっくりなのにー」

子どもは素直だなぁ、それに、一所懸命でいじらしい。

騙してごめんね、と心のなかで謝って
さ、これであきらめてくれるよな?
と思ったら、俺の手をつかんでいた女のコがこんなことを言った。

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