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本気になんかならない

第33章 告白

「ごめん。
あのときの…一目惚れって、冗談だと思ってた」

会っていきなりホテルに連れこまれたあの日。
俺にとっては一生忘れられない貴女との記念日だけど、貴女にとっては、どうなのかわからなかった。

「初対面で告白するなんて、
私ったら大胆よねぇっ」

つぎは、泣いているのにケラケラと笑いだした彼女。

俺は指で彼女の涙を拭い、
じんじんと揺さぶられた頭で思う。
あの頃の俺たちって、両思いだったんだ?
勝手に拗ねて、別れたりすることなんてなかったんだ?
俺がひとりで空回ってたんだ……。

「すっごくキレイなお姉さんでさ、
テナーの音色が心地よくって、。
すぐに俺は夢中になっちゃって。

なのに、傷つきたくなくて、
今、思うと、本当にバカなことばっかりしてた。
ごめんなさい」

お互いが唯一だと、信じなかった。
大好きなのに。。

頭をさげた俺に、彼女は
「許してあげる」と、背を伸ばしてキスをした。

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