テキストサイズ

本気になんかならない

第35章 いつか

「そんなわけないじゃない。
相性が悪かったら、家にあげないわよ。

これはね、私の問題なの」

否定した彼女は、これであきらめてとばかりに
伝えてきた。

「そうじゃなくてね。私、結婚に懲りたの」

懲りたって?
俺は直感で思った…この理由は不自然。

だって…俺とクリスマスに会わなければ
再婚する気だった、
紗波ちゃんと仲良しの子の父親と。

そこは指摘せずに質問をする。

「…前の結婚生活は、どうだったか知らない。
だけどそれは、俺とはまた別の話だろ?

さっき、好きすぎるって言ってくれたの…俺はすごく嬉しかったよ?
俺も北里のこと、すごく好きだし、ずっと一緒にいたいし、守りたい。

不安なのは、お金のこと?
仕事とか、家事のこと?」

好きな気持ちだけで結婚できるとは思わない。
だけど、心に引っかかっていることが
わからなければ、どうしようもない。

なぜ、小川さんはよくて、俺がダメなんだ?

下を向く彼女は、無言で首を横に振った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ