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本気になんかならない

第36章 夜は恋蛍

ハガキを拾いながらの私は、動揺を隠して尋ねる。

「可愛いね。誰?」

そこには七五三のような着物を着ている男のコ、、どこかのスタジオで撮影したっぽい。。

「あ…甥っこだよ」

くらくらと揺れる頭のなかの記憶を辿る。
子ども時代、オヤツを取りあったことはなく、服や学用品のお下がりもなく、オモチャは全部自分の物だったと彼は笑ってた。
逆に、賑やか3きょうだいの私を羨ましいと言っていた。

なのに、甥?
甥って、兄弟姉妹の息子のことだよね?

「兄弟っていたっけ?ひとりっこじゃなかった?」

いくら仲がよくたって、甥の写真を年賀状に使う?
これは明らかに自分の息子でしょ?

引ったくるように取りあげられるまでの、数秒のうちに目が覚えた。
写真下の細かなフォント…住所と、彼の名前と。
その横に、つなげるように記されている名前がふたつ。

「そんなこと言ってないよ。ほかの男と間違えてるんじゃない?」

するすると冷めていく。

私の誤解だと繕う彼が、一瞬にして汚っさんにしか見えなくなった。

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