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「あら、珍しい。口説くのに手間取ってるの？」

無理とわかったらすぐに手を引く彼が、そんなこと言うなんて、今度こそ真剣交際かなって思ったんだけど。

「ちげーよ。相手は男だし。
純粋なんだけど、家庭環境が複雑でね。何をやってもおもしろくないって目をしてんだ。
だから毒で治せるかな？って」

へぇ。。男のために…。
顔に似ず、友だち思いなんだ…。

「もっちーも充分に毒って感じだけどね」

「もし気に入ったら、紀ちゃんにでも託すよ。ヤツはめちゃくちゃ男前だから」

「じゃあ、いただいちゃおうかな」

その言葉はまるきりが冗談だった。
私の理想にぴったりと当てはまる男前なんて、漫画や小説のなかにしかいないと思ってたから。

そして約束のバーに連れてこられたのが。