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本気になんかならない

第37章 余波

赤ちゃんが、診察のために離れると、ふと気づいた。
耳に残ってる、私をずっと励ます声。

「がんばれ…もうちょっとだ…」

助産師さんたちじゃない、耳に馴染む声。

まさか、まさか………ずっといてくれたの?


私の横に立つ影は、顔の汗を優しく拭いてくれる。

「俺、居ても?」

その影に手を伸ばして

「居て……」

その手を握ってもらえて、安心した。
彼と心をあわせたみたいに思えて、とてもとても嬉しかった。

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