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本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

「それと、これはな。
本当は言いたくなかったんだが…。

あの指輪、実は本物なのはケースだけなんじゃないか?
まさかとは思うけど、ほかの女にも結婚を持ちかけて、貢がせてるんじゃないか?」

そんなこと言われて、きっと今の私
鏡で見たわけじゃないけど、目が真ん丸。

そんなこと思いつくなんて
お兄ちゃんったら、どこまで疑り深いの?

「彼が結婚詐欺師だっていうの!?」

思わず、大声を出してしまった私は
手で口を押さえた。

「ああ、そうだ。もしくは、紗波をもテゴメにする気だ」

なんですって?

いくら兄だってこれは許せない。

「今の発言、撤回してよ」

「お前、騙されているんだよ。いまに、金を要求してくるさ。事業資金とかいう名目で。
それに、どんな理由があろうと、紗波とそいつをふたりきりになんてするなよ?」

「そんなことあるわけないじゃないっ!」

幾度否定しても、兄は"別れろ"と繰りかえした。

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