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本気になんかならない

第6章 最後の夜

「和君!来たんだったら声かけてよ!
気づかなかったの?私も早めに来ちゃったのよ!」

差しせまったような北里の訴えにも、俺は面倒そうに吐きすてる。

「えー?もう渡したろ?」

「何言ってるの?今夜くらいつきあってよ!どこにいるの?」

「どこって…」

雑踏のなか、足を止めた俺が振りかえると、スマホ片手の北里がキョロキョロしながら、こちらに走ってくるのが見えた。

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