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好きだって気づいたとき

第10章 中学最後の夏休み

「で、どうなったの?」

「どうなったって、とにかくこれこらは冷静に気をつけろって。
お前が止めに入らなかったらもっとひどいケガをしてただろうって」

「よくわからないけど、お前空手やってるし、絶対ヤバいことになると思って・・・
正直、俺の知ってる知哉じゃなかったもん、顔つきが」

「自分がよくわからないよ」

「お前がわからなくても、俺がお前の事をよく知ってるからそれでいいじゃん」

「何だそれ」

「俺だけが知ってる知哉、いっぱいあるよ」

「いっぱいって何だよ。
何を知ってるだよ・・・教えろよ」

「嫌だ、教えない。
教えたら俺だけが知ってる事にならなく」

「何だよ。
それじゃあもう俺ん家来ちゃダメ〜」

「え〜、そんな・・・わかったよ。
じゃあひとつだけ教えてあげるよ」

「ひとつだけか・・・
それでもいいから教えてよ」

「お前、普段はどっちかと言うとクールでカッコイイと思うけど、時々凄く可愛いくなる時があるんだよな」

「バッ、バカ!可愛いって何だよ・・・うわっ!」


可愛いと言われた事に動揺しすぎて、足を滑らせてしまった俺の腕をとっさに掴み、引き揚げる遼太。
そしてそのまま遼太の胸の中におさまった。
何か前にもこんな事あったよな。


「そういう照れくさそうにする所が可愛いんだよな」

「そんな事急に言われたら、恥ずかしいに決まってるだろ」

「そのギャップが可愛いんだよ」

「うるさい!
可愛い可愛い言い過ぎなんだよ」

「ハイハイ、それはすみませんでした。
じゃあ教えたから、お前ん家行っていい?」

「まぁ約束だし、いいよ」

「やったぁ。一応宿題持ってきたし」

「おい、一応って何だよ」

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