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好きだって気づいたとき

第10章 中学最後の夏休み

夏休みに入って数日後、俺は学校に呼び出された。
俺はてっきり吉田、杉浦にあうのかと思っていたら、俺だけだった。
と言うより、杉浦も吉田も俺より先に呼び出されいたらしい。


「君の気持ちはわかった。
これからはもう少し冷静に行動するように」

「はい」

「君が本気出したら杉浦はあんなケガではすまなかったかもしれない。
張本が止めに入ってくれたからよかったけど」

「・・・はい」

「まぁ、吉田も吉田のおうちの方も君に感謝しているし、今回は特におとがめ無しということだ」

「ありがとうございました」

「正義感が強いのは悪い事じゃないけど・・・
これからは受験に向けて勉強頑張りなさい」

「はい、それじゃあ失礼します」


とりあえず今回は許してもらえた。
罰を与えられるのは嫌だけど、でも本当にそれでいいのかな。


「知哉!」

「えっ・・・あっ、遼太」


校門前に立っていた遼太。


「終わったか?」

「うん・・・」

「・・・。
知哉、あそこへ行かないか?」

「えっ・・・うん・・・」


あそこ・・・
俺達と言えば小学生の頃、毎日のように遊んでいたあの大きな木。
最近あまり行っていないけど落ち着く場所。
あいかわらずスルスルっと登っていく遼太と俺。


「やっぱここはいいよな」

「そうだな」


しばらく枝に寝そべって閉じた。


「涼しい・・・」

「知哉、落ち着いたか?」

「うん。やっぱこの場所って凄いな。
ところでお前、いつから校門前にいた?」

「ん・・・そこそこ待ってたかな」

「暑いのに、倒れたらどうするんだよ」

「何ともなかったからいいじゃんか」

「そうだけどさ・・・」


でもちょっと・・・
いや、遼太の姿を見たとき凄く嬉しかった。

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