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Linaria

第1章 夢現つ


ふわふわしていた。


静かで、何も無い、真っ白な空間。


前には背中があった。


腕を伸ばせば、届きそうなのに届かない。


あと数センチ、あと数ミリ。


少しずつ距離を埋めて。


肩に触れそうなところで、その背中がゆっくりと振り向いた。


愛おしいその人が、自分に向かって優しく微笑んだ。

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