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take a breather

第11章 君のうた

下の入口へと手を伸ばす

さて、ここからどうするか…

指先で撫でてみるけど簡単には入らなそう

「さと兄…」

遠慮がちに呼ぶから一度そこから手を離し翔の顔を見た

「やめようか?」

「あ…ううん、違う…
それ…使って?」

翔の人差し指がベッドヘッドに置いてある小さな平たい缶の容器を指した

「何これ?」

同じような缶が2つ…それを手に取る

「…ジェルとゴム…」

「へ⁈」

驚きの声を上げながら翔の顔を見ると恥ずかしそうに目を伏せた

「ジェルとゴムって…
お前、なんでこんなモノ」

何も用意しないでコトにおよぼうとしていたのは俺の浅はかさ…

でも まさか翔が持ってるとは思わなかった

「さっきコンビニで買った…」

「え⁈コンビニで売ってんの?」

コクンと頷いた翔

「あ、だから牛乳…」

おかしいと思ったんだ…

母さんはいつも牛乳を買い置きしてるのに
切れてるって言ったこと

翔が言うなら間違いないか、と買いに行かせたけど
実際は全然足りてた

「本当の事言うの恥ずかしかったから…」

「ん、ありがと翔…
それと ごめんな?俺が気にしなくちゃいけないことだったのに」

翔がハニカミながらふるふると首を振る

「そんなの気にしないで?
さと兄…今日こうなること考えたことなかったでしょ?
みんなにも『しない』って言ってた」

松潤にがっつくなって言われたし
お互いの気持ち確認したの今日だし

正直言えばここまでする気はなかった…

でも ふたりきりの今夜はチャンスといえばチャンスで
そのチャンスを生かそうと翔は誘ってくれたんだよな…

俺…全部 翔に引っ張られてないか?

気持ちを伝えたのも
今のこの状況を作り出してくれたのも…

「俺 ダメ兄貴だな…
全部お前任せだ…」

「ふふっ、違うよ?
僕任せなんじゃなくて
僕がさと兄を手に入れたくてしてることなの
早くさと兄が欲しかっただけ」

これって凄い愛の告白じゃね?

『早く欲しかった』なんて…

こんなにも想って貰えてるんだから
その想いに応えてやらないとな…

「もう少しだけ待っててな」

ジェルの蓋を開け指先ですくう

「うん…」

翔が恥ずかしそうにニコッと微笑んだ

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