テキストサイズ

take a breather

第20章 I seek

〈O’ side〉

いつの頃からだろうか…

翔くんが俺のことを『智くん』と呼ばなくなったのは

はじめはそんなに気にしてなかったんだ

呼び方なんて、その時その時でコロコロ変わる

『智くん』『キャプテン』『リーダー』『兄さん』『あなた』『大野さん』他にも何かあったっけ?

どんな呼び方をされても気にならなかったんだけど

最近…いや結構前からか…
あの独特なイントネーションで『智くん』と呼ばれなくなったことに寂しさを感じるようになった

俺のことを『智くん』なんて呼ぶのはメンバーの中では翔くんだけしかいなくて

だからなのかな…

仲の良かった友達に、ちょっと距離を置かれた感じ…

俺にとって翔くんは特別な存在だから余計にそう感じるのかもしれない

年下だけどスゲェしっかりしてるから
メンバーの中で一番頼りにしちゃってる

だから年齢とか関係なく対等な立場でいいと思ってんだけど

翔くんは俺のこと、それとなく立ててくれてて…

例えば他のメンバーは『お前』呼びするけど
俺にはしなかったり

コメントなんかも、喋りが得意じゃない俺を上手くアシストして笑いを取ってくれたり

俺だけ特別なのかな?なんて感じることがしばしばあった

でも勘違いだったのかな…

たまたまグループの中で年上が俺しかいなかったから
礼儀正しい翔くんは、俺だけ扱いが違った?

翔くんにとって俺ってどんな存在?

そんなことを考えるようになったせいか
気付くと翔くんを目で追ってることが増えていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ