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雪原に咲く椿

第2章 花灯り―ツバキ―

白く覆われた大地に椿色はよく映える。

この最果ての地で外套すら纏っていないのは、誰がどう見たって不自然だ。もはや自殺行為である。


それともうひとつ。どこから来たのか、どうして名を知っているのか――いくら尋ねてもはぐらかされてしまう。




一体なんなんだと少しだけむっとする。それはそうだろう、答えない理由さえ言わないのだから。もしくは、答えられないかである。その答えに行き着き、少年の方を見れば曖昧に笑った。


どうやら半分は当たりらしい。



そろそろ馬鹿らしくなって呟いた一言に、少年が心底不思議そうな顔をした。





「帰るか」


「え?どこに?」


「こんな場所にいつまでもいられるか。凍え死ぬ」


「あーそうだよね」


納得したようだったが、あまりピンとはきてないようだった。


道中花が咲いたように話始めた。――今までの時を、取り戻そうとするかのように。



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