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北アルプスの少女と廃寺

第1章 チーズを欲しがる

「おい、待て」


「もう、なんなんですか!一体」


「お前じゃねぇよ
おい、じいさん
あんたその腕の傷どうなさったい?」


「ん、ああ
昔の古傷じゃ
イスを作っていた時にケガしてなー」


「ウソだね
隣りにいる若いのにやられたんだろ?」


「ちょっと、なに言ってんですか!」


「実はそこの女の子も虐待されているんじゃないのか?」


「この人なんかおかしいよ。さっさと帰りましょう」


「わしゃ買わんぞ」


「買いませんて
帰るんですよ、おじいさん。
もみじちゃんも早くこっちおいで。
見ちゃだめだって!」


「なんじゃ
ちーずはいらんのか?」


「あーあ
チーズ欲しかったわ」


「まったく
どういう商売してんだ、あの人!」

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