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降りたフロアは最上階の一つ下。

何がすごいって、このフロア全てがその家主さんが所有しているらしい。

「桃、貴女も名前くらい聞いたことあるんじゃないかしら？間宮 由奈ってカメラマンなんだけど」

「……っ、え？！」

間宮 由奈、といえば知る人ぞ知る、若くして成功した天才。
メディアに顔を出すのが好きではないらしく、どんな人物かはよく知られていない。

男性で、業界の人達が一緒に仕事をしたがる腕の持ち主……私が持っている情報はそれくらい。

なぜその姿をあまり現さないのか……容姿が残念すぎるとも綺麗すぎるとも言われていて、果たしてどれが本当の情報なのかわからないのが現状だ。

あまりに謎めいた存在で、一度くらい会えるものなら会ってみたいと思っていたけれど……まさか、こんな身近に知り合いがいたとは。

ドア前のインターホンを鳴らすと、開いてるからどうぞと声が返ってきた。