
友達のままがいい
第4章 (過去)高校生
――――ッバチン
私は則ちゃんの頬を力いっぱい叩いていた。
叩かれた則ちゃんは驚いた顔をしていたけど、私はこの場から逃げ出したかった。
「則ちゃんなんて大っ嫌い。…二度と近づかないで」
それだけを必死に叫んで逃げるようにその場を駆け出した。
彼にキスされて驚いたのもあるけど、それ以上に慶介とするキス以上に感じた自分に驚いてもいた。
ただの友達なのに…
ただの幼馴染なの…
そう思いながらも思い出すのは則ちゃんの柔らかい唇と暖かな舌の感触だった。
舌と舌が絡まると何とも言いようのない高揚感があふれて…怖かった。
このまま続けてしまったら戻れなくなるんじゃないかと思うほど………則ちゃんのキスに感じた。
どうして慶介より感じてしまったのか分からず困惑して、慶介とキスをしても心はどこかにあるようで前みたいに感じることはなかった。
だけど、慶介に嫌われないように、いつもの自分を演じた。
