Kissシリーズ
第1章 幼馴染のキス
小さい頃、結婚式ゴッコをしては、アイツと唇を合わせていた。
それも小学生になると次第に減っていき、高校生になってからは思い出すことさえなかった。
…なのに。
「んっ…」
……軽く合わせた唇は、意外に熱かった。
じゃくなくてっ!
「何するのよ! このどあほっ!」
バキッ!
わたしの左ストレートは、見事にアイツのアゴにヒットした。
普段は右利きのわたしだが、力を使う時は左手を使うことにしている。
…と、冷静に考えている場合じゃないっ!
「いってぇ…」
アイツのメガネが床に転がった。
けれどわたしは肩で息をしながら、アイツを睨み付ける。
「いきなり何すんのよ!」
「何って…キスだけど?」
「だあああっ! 何でそんなに冷静なのよっ!」
「騒ぐと誰か来るよ」
ぴたっ、と動きを止めた。
今は放課後の教室。
わたしとアイツしかいない空間。
…フツーの女子生徒と男子生徒であれば、夕日の満ちる誰もいない教室というシチュエーションは、心ときめくかもしれない。
けれど実際は、数学で赤点を取ってしまったわたしが幼馴染のコイツに勉強を教えてもらっていただけだ。
一つの机をはさんで、向かい合わせでいた。
確かに顔は近かった。
それも小学生になると次第に減っていき、高校生になってからは思い出すことさえなかった。
…なのに。
「んっ…」
……軽く合わせた唇は、意外に熱かった。
じゃくなくてっ!
「何するのよ! このどあほっ!」
バキッ!
わたしの左ストレートは、見事にアイツのアゴにヒットした。
普段は右利きのわたしだが、力を使う時は左手を使うことにしている。
…と、冷静に考えている場合じゃないっ!
「いってぇ…」
アイツのメガネが床に転がった。
けれどわたしは肩で息をしながら、アイツを睨み付ける。
「いきなり何すんのよ!」
「何って…キスだけど?」
「だあああっ! 何でそんなに冷静なのよっ!」
「騒ぐと誰か来るよ」
ぴたっ、と動きを止めた。
今は放課後の教室。
わたしとアイツしかいない空間。
…フツーの女子生徒と男子生徒であれば、夕日の満ちる誰もいない教室というシチュエーションは、心ときめくかもしれない。
けれど実際は、数学で赤点を取ってしまったわたしが幼馴染のコイツに勉強を教えてもらっていただけだ。
一つの机をはさんで、向かい合わせでいた。
確かに顔は近かった。