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Kissシリーズ

第1章 幼馴染のキス

けれどキスを事故でするほど近くはなかった!

「なんでっ…いきなり!」

頭に血が上る。

目の前がくらくらしてしまう。

「したくなった」

「…顔が近くにあったからって言ったら、もう一発ぶん殴るわよ?」

「それもあるけど…」

そう言ってわたしの髪に触れてきた。

その手の優しさに、思わず胸が高鳴る。

「お前が可愛いから」

「…意味分かんないんだケド」

そうは言ってみたものの、眼をそらしてしまった。

あんまりに優しい顔をするから…。

「可愛いよ。今、改めて気付いた」

「今までは気付かなかったの?」

「気付いてほしそうなのは、気付いてたけどね」

「ぐっ…」

ヤなヤツだ。

こんな嫌なヤツの為に、可愛くなったわたしはやっぱりバカだ。

あんなに努力しても、今まで何も言ってこなかったクセに。

でも何だかんだで一緒にいてくれたことが、とても嬉しい。

「これからもキスしたいって言ったら、怒る?」

「…別に。子供の頃に戻ったようなものでしょ?」

「そうだな」

…そんなに嬉しそうに笑わないでよ。

心臓が痛くなる。

「ああ、それに…」

「まだ何かあるの?」

「うん。やっぱりバカなコほど可愛い」

最上級の笑顔で言ったアイツに、わたしは二度目のストレートを叩き込んだ。

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