Kissシリーズ
第9章 ヘタレとのキス
そして次の日には、何にもなかった顔でいつもの日常に戻るんだ。
浮かぶ涙を拭って、私は教室に戻った。
「あっ…」
しかしそこには、まだ帰っていなかったアイツがいた。
「…まだ帰ってなかったの?」
「あんなことされて…帰れないよ」
それもそうか。変に納得してしまう。
「じゃ、一緒に帰る? どーせ帰る方向、同じだし」
「良いけど…。その前にさっきのキス…」
「忘れて。犬にでも噛まれたと思って」
いつものように切り捨てる。
「…ムリだよ」
いきなり肩を捕まれた。
その顔は怖いくらいに真剣で…とても赤かった。
「聞きたい。キスした理由」
「…何となく?」
「本気で?」
いつになく真面目な顔で聞かれても、返す言葉はうまく出てこない。
今すぐにだって、逃げ出したいのに…。
「…俺はさ、真面目なキスがしたい」
「はぁ? 何言ってんの?」
「お前と」
「…本気で?」
「もちろん」
私の肩を掴んだまま屈み込んできた。
だから私は顔を上げて、眼を閉じた。
再び重なり合う唇。
離れてもお互いに気恥ずかしくて、言葉が出なかった。
だから私はそのまま、コイツの胸の中に倒れ込んだ。
「えっ、えっ?」
「…バカね」
私はぎゅっと抱き付いた。
「今は何も言わない方が良いのよ」
「…分かった」
顔を見なくても、優しく微笑んでいるのが分かる。
そのまま抱き締め返してくれるあたたかな体。
伝わる互いの心の音…。
二人の性格はこんなにも正反対なのに、今、きっと気持ちは同じだ。
このまま、この気持ちがずっと続けば良いと思った。
浮かぶ涙を拭って、私は教室に戻った。
「あっ…」
しかしそこには、まだ帰っていなかったアイツがいた。
「…まだ帰ってなかったの?」
「あんなことされて…帰れないよ」
それもそうか。変に納得してしまう。
「じゃ、一緒に帰る? どーせ帰る方向、同じだし」
「良いけど…。その前にさっきのキス…」
「忘れて。犬にでも噛まれたと思って」
いつものように切り捨てる。
「…ムリだよ」
いきなり肩を捕まれた。
その顔は怖いくらいに真剣で…とても赤かった。
「聞きたい。キスした理由」
「…何となく?」
「本気で?」
いつになく真面目な顔で聞かれても、返す言葉はうまく出てこない。
今すぐにだって、逃げ出したいのに…。
「…俺はさ、真面目なキスがしたい」
「はぁ? 何言ってんの?」
「お前と」
「…本気で?」
「もちろん」
私の肩を掴んだまま屈み込んできた。
だから私は顔を上げて、眼を閉じた。
再び重なり合う唇。
離れてもお互いに気恥ずかしくて、言葉が出なかった。
だから私はそのまま、コイツの胸の中に倒れ込んだ。
「えっ、えっ?」
「…バカね」
私はぎゅっと抱き付いた。
「今は何も言わない方が良いのよ」
「…分かった」
顔を見なくても、優しく微笑んでいるのが分かる。
そのまま抱き締め返してくれるあたたかな体。
伝わる互いの心の音…。
二人の性格はこんなにも正反対なのに、今、きっと気持ちは同じだ。
このまま、この気持ちがずっと続けば良いと思った。