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Kissシリーズ

第18章 お見合いのキス

まっ、成功してもあまり良いことない。

上手くいけば、私は高校を卒業してすぐ結婚。自由なんて…無くなる。

ホントはもっと勉強して、私自身が働きたいのに…。

「なあ」

「はっはい!」

「お前、結婚する気、あるの?」

「えっ? あっあります! 無ければ来ません!」

コレは…半分ウソ。

生まれてこの方、家の為に結婚するのだと教え込まれ、抵抗があまり無かったのも事実。

「その相手が18も年上で、こんなヤツでもか?」

「構いません! あっあなたこそ、18も年下の女子高校生相手で良いんですか?」

「俺は構わん。気に入った」

………はい? えっ? 気に入った? 私を?

「どっどこが気に入ったんですか?」

「とりあえず、全部」

とっとりあえず? 全部!?

ぽかーんとしていると、彼はくくくっと笑い出した。

「ヒドイ顔してるぞ? とても女子高校生には見えねぇな」

「なっ!?」

ヒドイのは彼の方だ!

私は袖で顔を隠す。

「―それ、クセなのか?」

ぐいっと腕を捕まれ、顔を出される。

「なっ!?」

「顔も好みだ。和服が似合う女子高校生なんて、今時少ないしな」

ニヤッと笑うなり、いきなりキスしてきた!?

「んっんん~!」

タバコの匂いと苦味が、口の中に広がる。

はじめて感じる男の唇に、頭の中が真っ白になる。

「ぷはっ」

唇を離されると、一気に咳き込んだ。

「げほっ、ごほっ」

「キスもはじめてか。ますます気に入ったな」

満足そうに私の顎を掴み、真っ直ぐに見つめてくる。

「なっ!?」

「眼も気に入った。野心を持っている眼だな」

やっ野心!? そんな大それたもの、持った覚えは無い!

「俺の妻になれ。お前の望むもの、全て与えてやろう」

…この言葉に、ブチッと切れた。

「なめないでっ!」

どんっと彼の体を叩いて、離れた。

「あなたに与えられるものだけで満足するような女じゃないの! 私はちゃんと勉強して、大学も出て、世界相手に働くんだから!」

………。

沈黙、3分後。

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