Kissシリーズ
第23章 執事とのキス
いっつもニコニコと笑っている彼じゃなく、とても冷めた目と表情をする彼は…。
「なっ何でそういうことを言うのよ! 人が羨むような人生送ってるんじゃないの?」
「あ~それね。よく言われるけどさ。自分が望んでいないものが周りに溢れてたって、意味無いと思わない?」
「それはっ…!」
…そうだけど。
「生まれてからこの方、何不自由ない生活を送っていると、逆に退屈で死にそうだった。だから今ここで死んだとしても、悔いはなかったんだけどね」
自分の体の傷を見ながら、彼は淡々と話す。
けれどアタシだんだん怒りが募ってきた。
「…アンタさぁ、人生なめてるでしょう?」
「えっ?」
顔を上げた彼の顔を、アタシは思いっきり、
パンッ!
平手打ちした。
「そんなバカな坊ちゃん考えで、簡単に生き死に口にするなっ! 生きることの難しさも酸いも甘いも分かっていないクセに、『死んでもいい』なんて言うんじゃない!」
そして胸倉を掴み、顔を近付けた。
「アンタもアタシも生きるの! これからもずっと、生きていくんだから! そして自分で人生を楽しみなさいよ!」
「…別に生きてても楽しくないんだけどね」
全てを諦めたかのような言い方に、頭にカッと血が上った。
彼はずっと、全てのモノが満たされてきた。
家柄もお金も、容姿も頭脳も運動神経も全て、足りなくて欠けたことなんてなかった。
だからこんなに足りない人になってしまったのか…。
周囲の人から羨ましがられても、彼の心は動かせない。
…ならっ!
アタシは彼の頭を掴み寄せ、彼の唇にキスをした。
「んんっ!」
何度も、何度も!
噛み付くように唇を合わせ、薄く開いた口の中に舌を入れた。
逃げようとする彼の舌を絡めとり、無我夢中で彼の口の中を貪った。
舌で味わう彼の唾液が、とても甘かった。
思う存分彼の唇を味わった後、どちらともつかない唾液で濡れた唇をはなした。
「…アンタが自分で自分のことをいらないと言うなら、アタシにちょうだい。アタシはアンタに生きててほしい。だからアタシのモノになって、生きなさい」
額を合わせ、間近で睨み付けながら言った。
すると彼は一瞬眼を丸くし、すぐに閉じた。
そしてしばらくして開いた目には、先程の冷たさは無かった。
「…良いよ。それ、おもしろそうだ」
「なっ何でそういうことを言うのよ! 人が羨むような人生送ってるんじゃないの?」
「あ~それね。よく言われるけどさ。自分が望んでいないものが周りに溢れてたって、意味無いと思わない?」
「それはっ…!」
…そうだけど。
「生まれてからこの方、何不自由ない生活を送っていると、逆に退屈で死にそうだった。だから今ここで死んだとしても、悔いはなかったんだけどね」
自分の体の傷を見ながら、彼は淡々と話す。
けれどアタシだんだん怒りが募ってきた。
「…アンタさぁ、人生なめてるでしょう?」
「えっ?」
顔を上げた彼の顔を、アタシは思いっきり、
パンッ!
平手打ちした。
「そんなバカな坊ちゃん考えで、簡単に生き死に口にするなっ! 生きることの難しさも酸いも甘いも分かっていないクセに、『死んでもいい』なんて言うんじゃない!」
そして胸倉を掴み、顔を近付けた。
「アンタもアタシも生きるの! これからもずっと、生きていくんだから! そして自分で人生を楽しみなさいよ!」
「…別に生きてても楽しくないんだけどね」
全てを諦めたかのような言い方に、頭にカッと血が上った。
彼はずっと、全てのモノが満たされてきた。
家柄もお金も、容姿も頭脳も運動神経も全て、足りなくて欠けたことなんてなかった。
だからこんなに足りない人になってしまったのか…。
周囲の人から羨ましがられても、彼の心は動かせない。
…ならっ!
アタシは彼の頭を掴み寄せ、彼の唇にキスをした。
「んんっ!」
何度も、何度も!
噛み付くように唇を合わせ、薄く開いた口の中に舌を入れた。
逃げようとする彼の舌を絡めとり、無我夢中で彼の口の中を貪った。
舌で味わう彼の唾液が、とても甘かった。
思う存分彼の唇を味わった後、どちらともつかない唾液で濡れた唇をはなした。
「…アンタが自分で自分のことをいらないと言うなら、アタシにちょうだい。アタシはアンタに生きててほしい。だからアタシのモノになって、生きなさい」
額を合わせ、間近で睨み付けながら言った。
すると彼は一瞬眼を丸くし、すぐに閉じた。
そしてしばらくして開いた目には、先程の冷たさは無かった。
「…良いよ。それ、おもしろそうだ」