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Kissシリーズ

第33章 強引なキス

「寄るな、触るな、近づくなぁあ!」

「お前、いい加減に諦めろ」

ぐいっと手を引かれ、無理やりキスされる。

「んむぅっ!?」

けれど力の限りヤツの胸を押して、離れる。

「わっ私はまだ納得していなんだっ! 借金のカタに嫁入りなんて、今時ふざけている!」

「ふざけているのはオレの家から多額の借金をしたクセに、返せなくて娘を差し出してきたお前の両親だろう?」

「ぐっ…」

それは…否定できない。

「しかもまだ高校生。入籍は済ませたとして、式は卒業後。お前が今まだ学校に通えるのも、家族が平穏無事に過ごせるのも誰のおかげだ?」

ヤツは得意げににんまり笑う。

…クッソー。

あのバカ親め。未来永劫恨んでやるっ!

ウチの家はそもそも、町工場を営んでいた。

けれど世の不況のあおりをモロに受けて、あっと言う間に仕事も金もなくなった。

やがて親はヤバイ所から金を借りるようになり、…お決まりの転落コースを行った。

そこで違ったのは、私がこういう性格であるが為、親も良い根性をしていた。

親は借金のカタに、自ら一人娘であるわたしを目の前の男に差し出したのだ。

男は金融会社の他、いわゆる闇や裏に関わるヤバイ仕事をたくさんしているヤツだった。

しかし歳は現38歳、わたしより20も上だ。

でもまだ結婚していなかったらしい。

…まあ、大人の付き合いをしている女性は大量にいただろうけど。

「キサマもおかしなヤツだな! 何で本当に借金のカタに私を引き受けたんだよ」

「ん? まあ面白そうだと思ったからだ」

そう言って私の隣にドカッと腰を下ろした。

ちなみに今いる場所は、コイツの家の一室。

和室で、今は夜。

…なので、寝室には二組みの布団が敷かれていた。

けれど私はコイツと一緒がイヤで、暴れまくっている。

「お前ほど気の強い女も珍しい。オレの容姿にも金にも惹かれないとは、な」

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