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Kissシリーズ

第33章 強引なキス

「キサマは自意識過剰過ぎるんだよ。いくら容姿が良くて、金を持っていても、その強引さはいただけない」

嫌悪感を隠そうともしないわたしを見て、アイツはクックっとおかしそうに笑う。

「そういう物言いも良い。オレは知っての通り、普通の仕事をしていない。だからキモの座った女が良いんだ」

「…私は良くない」

「だが諦めろ。お前の家の借金をチャラにした上に、これからの仕事はオレから回すことになったんだ」

…コイツ、どんな人脈を持っているんだ?

確かに言った通り、借金は全て帳消し。

しかも工場には仕事が舞い込んできた。

おかげで今はフル活動しているみたいだけど…。

「う~」

枕を抱え込み、唸る。

確かに工場が潰れなかったおかげで、助かった従業員達は良いだろう。

問題はあのバカ親とコイツ。

最初見た時から、何か気に食わなかった。

強引で、自分勝手。

私は…結婚するなら、穏やかで優しい男の人が良かったのに…。

「お前だって、最終的にはオレを受け入れたんだ。だから諦めろ」

そう言って私の肩を掴んで引き寄せ、再び唇を奪ってくる。

「やっやめっ…んんっ」

抗っても、男女の力の差はある。

次第に力が抜けてしまい、アイツの体に寄りかかってしまう。

「安心しろ。お前が高校を卒業するまで後数ヶ月はこれ以上、しないでおいてやる」

偉そうに…。

「だから抱擁とキスは慣れろ」

「ううっ…」

ぎゅっとヤツの体にしがみついてしまう。

…コイツのフェロモンに、当てられてしまう。

思わず振り回されるのも、良いかな?と考えてしまうほどに、参ってしまう。

強引な口調と態度なのに、優しく頭を撫でてくるところとか…。

不意な優しさは卑怯だ。

心が揺れ動いてしまう。

「それにお前を幸せにできるのは、オレだけだぞ?」

「…その自信はどこから?」

「お前を愛しているからだ」

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