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にゃんこは虎の夢を見る

第1章 カッコいいには程遠い?


「ほ、ほら、にの!体育館行くよっ!…あっと、にのがごめん!本当わざとじゃないからさ、許してっ」

両手をプルプルさせて拳を作っているにのの視界の前に立ちはだかり、そのまま隠すようにずるずると引き剥がす

「…喧嘩したい訳じゃないから、もういいよ」

多分にのの変化に気付いたんだろう。彼は微妙な顔付きでため息を吐いた

俺はと言えば、にのの顔を隠すようにして足早にクラス分けの紙の前から遠ざかるだけだ

今のにのは周りに見せちゃいけない

本人、分かってないかもしれないけど、目元が赤くなっていて瞳が潤んでいる

つまりは、泣く直前の表情ってやつ

……そう。にのは強くなりたい気持ちの根底に「やたら涙もろい」弱点がある

泣き虫とは違うけど、感情が高ぶると涙腺が緩む

これがコンプレックスでもある身長を突付かれると怒りが一瞬でマックスに上がって、ぶわっと涙が溢れちゃうんだ

それをみられて、入学式で泣いたなんて知られたらにのは絶対にガチで凹む

せっかく表面を頑張ったのが水の泡になるのだけは、やっぱり避けたい

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