テキストサイズ

ソレは、そっと降り積もる・・・。

第12章  愛を識るとき

  


 唇を解放されて熱を帯びたエメラルドの瞳に見つめられてハッキリと言われた。


「っ・・・」


 見ていたのを気が付かれていたことが恥ずかしい。


「おはよう、珱月・・・・・・。」


「お、おはよう・・・ございます。」


 恥ずかしくて彼の顔を見られない。


「俺の顔を見ているだけで、キスの一つもしてくれないのか?」


「えっ!!」


 そらしていたハズの目をすぐに見てしまった。身体が熱い。


「今日もイイ朝だな。」


「っ・・・・・・
(本気に、しちゃだめ・・・)」


 髪を梳《ス》きながら微笑んでくる彼を見ながら高鳴り出す心を制御する。〝本気〟になどして傷つくのは、自分なのだと十分理解していた。


「どうした?」


「だめですよ、ジュリアスさん。」


「〝なにが〟だ?」


「そういうことをしたら、〝本気〟だって勘違いされちゃいますよ。」


  

ストーリーメニュー

TOPTOPへ