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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第14章  障害物狂想曲━ クレッシェンド ━

  


 突然現れた男に命令されるままにメイドを縛り上げ口を塞いだ。


「言うことを訊くイイ子は、好きだぞ。さて・・・メイドには、椅子にでも座っててもらおうか。」


「んんっ!!」


「おっと、忘れたのか?」


 メイドが声を上げると男は、ナイフを向けてくる。メイドの瞳が恐怖で揺れて濡れていく。


「マリー。そこに、座っていて。」


「んんっ
(珱月さまっ)」


「ね、お願い。」


 メイドを宥《ナダ》めて椅子に座らせた。


「さて、メイドも大人しくなったし・・・俺たちの時間だな。」


「っ・・・」


 男の目付きが雰囲気がなんとも言えず気味が悪い。


「こっちに来な、〝黒髪の乙女〟。」


 男が手を差し出してくるがその手を掴むことなど出来ない。


「どうした。来いよ。」


 逆らっては、イケないと思いながらも身体が言うことを訊かない。


  

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