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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第19章  上流階級の仕来り

  


「珱月さまっ!!」


「マリー・・・ただいま。」


 駆け寄って涙ぐんでいるメイドに彼女が優しく声を掛ける。


「珱月、さま・・・っ」


「大丈夫。もう、大丈夫よ。」


「マリー。話しは、あとでもいいか?珱月を休ませないと。」


「っはい。申し訳ありません。」


「また、あとでね・・・マリー。」


 彼女は、メイドに優しく声を掛けている。そんな彼女の手を引いて部屋に向かう。
 コトの起こった部屋は、使えない。使わせたくなどない。部屋は、変えた。


「あの、ジュリアスさん・・・」


「どうした?」


「両親と、連絡を取っても・・・いいですか?」


「ああ、すっかり先延ばしになっていたな。落ち着いたら状況を説明して本国に来てもらうハズだったのにな。」


「そう、でしたか。」


「なんだ。家族には、逢わせてもらえないとでも思っていたのか?」


  

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