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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第19章  上流階級の仕来り

  


 いつでも〝自由〟など許されない。許されているのは、小さく頑《カタク》ななコミュニティーの仕来《シキタ》りを守っていればこそ・・・なのだ。
 この腕に抱くモノさえ本心に従えることはない・・・。それなのに出逢ってしまった。
 些細な邪《ヨコシマ》な感情が行動を起こさせた。今では、その行動力に感謝する。


「珱月、着いたぞ。」


 隣で眠っていた彼女に声を掛ける。


「ん・・・っ」


「さぁ、おいで。」


 寝ぼけ眼を向けてくる彼女に手を差し出す。


「・・・」


「歩けるか?」


「はい・・・」


 車を手を引いて降ろす。


「お帰りなさいませ。ジュリアスさま、珱月さま。」


「ああ、ただいま。」


「お荷物を。」


「ああ、頼む。」


 出迎えた執事に荷物を任せて彼女を連れて屋敷に入る。


  

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