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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第19章  上流階級の仕来り

  


「どうした。思わぬ大物でも引っかかりましたか?」


 部下の態度が気になって改めて仕事用の口調で問いただす。


「それが・・・手引きしたのは、やはりあの者でした。」


「それで・・・処分は、どうしますか?」


「すぐに出来るのですが・・・誰の指示だったのかを吐きました。」


「そうでしたか。で、いったい〝誰が〟指示して〝誰に〟従ったのですか?」


「伯爵家の・・・ミエリア、さまだと言うのです。」


「そうでしたか。」


 判っていた。宣戦布告に名乗ったのだから・・・〝自分が黒幕だと〟。その名前が出て来ても驚きはしない。上流階級にしがみつく没落寸前の哀れな家だ。


「もしかして、ご存じでしたか?」


「まさか。驚きですねぇ・・・王さまに報告を上げてしまいましょうか。」


「えっ!!?」


「冗談ですよ。」


  

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