テキストサイズ

ソレは、そっと降り積もる・・・。

第24章  チューベローズ

  


 執事の顔色が変わった。本当に大切に想っているのだろう。


「大切だと想うなら自分を無碍に使わせては、イケないのではないか?俺も最近になって思い知ったところだ。」


「ジュリアス、さま・・・私はっ・・・・・・」


「悪いな。俺は、皆に優しくするような器用でも寛大でもない男だ。だから選んだ相手しか眼中にない。
 お前の主を選ぶことは、絶対にない。」


 狼狽している執事に辛いだろうがもう一声掛けた。


「ロイ、帰ろう。珱月が心配だ。」


「はい、ジュリアスさま。」


 一刻も早く戻りたかった彼女の、珱月の元に。


 》 》


 欲しいモノ。やりたいコト。たくさんあってたくさん諦めてきた。我が儘だと知っていたから・・・いいや、〝出来ない〟と知っていたから。
 期待をしないクセがついて、傷付かないフリをしてきた。


  

ストーリーメニュー

TOPTOPへ